上司との仕事上のコミュニケーションの抵抗感が減り、働きやすくなったこと 

●上司との仕事上のコミュニケーションが苦手になる

私は今働いている会社に転職して3年が経つのですが、働くうちに上司との仕事上のコミュニケーションが苦手なものとなり、無意識に避けてしまうようになっていきました。必要な報告や相談はもちろん行っていましたが、自分だけで考え込まずに早い段階で上司に相談していればすぐに解決できることに時間を割いていたり、認識のズレによる仕事のやり直しが生じてしまうなど、不要なことに時間を要してしまい、心身に疲労が蓄積するようになっていました。

上司との仕事上のコミュニケーションが苦手になっていった要因は次のようなものです。

上司への業務報告や相談をした時に、上司が私に対して改善点を指摘するときの内容において、実際の業務の難易度を考慮に入れると、自分としてはそれなりに出来ていると思うことも全て否定されたように感じることがあったり、指摘される内容は納得がいくものであっても、その表現方法において、馬鹿にされたと感じることなどがあり、悲しく・悔しい思いをすることがありました。

また、上司に言われるがままで、反論をしないなど、腰が引けた感じのコミュニケーションをとってしまっていたことも、これらの現象を助長していた側面もあるようです。

このようなことが積み重なることで、上司との仕事上のコミュニケーションが軽いトラウマのようなものとなっていきました。

上司が私を指摘する時の内容は、客観的に考えると根底には優しさがあり、また全て否定されたと感じたことも、あくまでも私の主観に基づいたものです。

●蓄積した感情のクリアリング

体感覚として、もやもやした感情のエネルギーが蓄積しているのが知覚できていたので、帰宅後に毎日5〜10分ほどの時間をとって、クリアリングするようにしていました。取り組みを始めた頃は上司から改善点を指摘されている時に感じていた、悲しさや悔しさの感情を扱っていたのですが、クリアリングを進めて行く中で強い怒りの感情も蓄積していることが判ってきました。この怒りの多くは、自分を馬鹿にされたと感じることによって生み出されたものだと思います。この怒りに蓋をして感じないようにしていたのは、上司からそのような扱いを受けるのは自分の仕事の能力や説明の仕方が悪いためだと考え、改善点を指摘してくれる上司に対して、感謝こそすれ怒りを感じることはいけないことだと考えていたためです。また、上司のことが好き(恋愛感情ではなく、人として)と感じる側面が自分の中にあることも怒りを抑圧する要因になっていたように思います。

この怒りを抑圧した状態で上司とコミュニケーションをとっていたために、腰が引けた感じとなり、言われるがままとなる要因にもなっていたようです。そして、怒りの蓄積がさらに、怒りの感情を生み出す状況を引き寄せる側面もあったと思います。

2~3年間、無いものとして溜め込んできた怒り。その大量のエネルギーを一度に処理するのは心身ともに負担がかかるものであるため、感情カウンセリングのセミナーで学んだ方法/自分が扱える分量とペースで少しづつクリアリングを進めていきました。

 

●承認欲求の存在

蓄積した感情をクリアリングしていくと、自分の心の声が認識できるようになり、上司から改善点を指摘された時に、ネガティブな感情を生み出した要因が判ってきました。

その要因の一つは、上司に認めてもらいたい想いの存在。上司から自分では出来ていると思っていることを否定されることにより、認めてもらえないことへの悲しさや悔しさ、上司の求めるレベルで仕事を達成できない不甲斐ない自分を否定する想いを生み出していました。

さらに上司に認めてもらいたい思いの根っこを探っていくと、父親に認めてもらいたい・理解してもらいたいという想いがあることが判ってきました。

学生時代や幼少期に父親に認めてもらえなかったり、理解されなかったと感じた出来事において形成された承認欲求を、上司に対して父親を投影して満たそうとしていたようです。

 

●父親に認められたい思いの解消

落ち着いて内観する時間が取れるときに、父親に認めてもらえず、辛い思いをした時の記憶に意識を向けてみました。

私は高校生の頃、学校での人間関係のストレスの影響もあり、勉強に集中できていませんでした。そのため、あまり成績は良いほうではなく、期末試験の成績を見せたときの父親の残念な表情や叱責の言葉に対して傷つき、自分の置かれた状況を父親から理解してもらえていないことへの悲しさや、父親の期待に応えることができない不甲斐ない自分への否定的な想いが蓄積していたようでした。

そこで、当時の状況を客観的に捉え、父親側の視点から考えてみました。

私は父親に対して、学校の人間関係に苦しみ疲弊していることを伝えたことはなかったので、当時の自分の置かれた状況が父親に理解されず、単に努力が足りていないと思われても仕方がないこと、父親の価値観として、息子の幸福な人生に繋がると信じる学業成績の重要度が高いがための愛情に基づく叱責だったことに理解が及びました。そうすると、この出来事において生み出され固着化した感情と想いがゆるみ、出てくるままに感じ続けると、昇華していきました。

また、別の日の内観において、幼少期の出来事が出てきました。父親の勘違いで、自分が悪くないのに怒られたと感じた時に生まれた、父親に自分は悪くないことを判ってもらいたいという想いと、判ってもらえないことへの悲しさ・悔しさの感情が出てきました。当時の詳細な状況は思い出せなかったのですが、父親も人間なので勘違いすることもあり、また仕事のストレスや疲れの蓄積により怒りを生み出しやすい状態であった可能性にも理解が及ぶと、固着化した想いと感情がほどけていきました。

 

●気づき

私は自分の固定観念やセルフイメージとして、その存在を受け入れられない醜悪な想いや、その想いに紐づく感情を無いものとして、感じないようにしていました。このことは、自分本来の姿を認めないことに繋がり、自己否定を強めていたように思います。

また、自分の行動や言動において、意識的・無意識的に他人から認めてもらう(承認欲求を満たす)ことを目的としていたものが多かったことも認識しました。

 

●会社の仕事における発想と行動の変化

仕事を進める上で、「上司に認められたい」という想い/上司の評価への囚われが減り、シンプルに価値を生み出すことに意識が向くようになり、主体性が増してきました。また、上司と仕事上のコミュニケーションを取ることへの抵抗感が減ったことにより、自然と相談の頻度が増えていき、余計な仕事をしてしまうことが減っていきました。

さらに、上司からの指摘を受けた時の感情的な反応も少なくなり、素直に指摘された内容を受け取れるようになったのを感じています。これらの変化により、働く上での心身の負担が減り、働く楽しさや喜びを感じることが以前よりも増してきたように思います。

また、父親との関係性においても「父親に認められたい」という想いが減り、父親の価値観の影響を受けない、自然なコミュニケーションが取れるようになってきました。そうすると、人生の選択においても、自分の本心に基づく生き方/選択をとりやすくなったのを感じています。

 

●まとめ

上司に父親を投影し、上司から評価を得ることで、父親に対する承認欲求を満たそうとしていた。

自己否定から、怒りの感情に蓋をして感じないようにしていた。

これらの要因により、上司から仕事面での駄目出しを受けたときにネガティブな感情を生み出し、その蓄積による抵抗感から、上司とのコミュニケーションを無意識的に避けるようになっていました。

改善の取り組みとして、蓄積した感情のクリアリングと感情を生み出す原因となった過去の出来事に対する客観的な視点による捉え直しを行い、満たされなかった想いの解消を行いました。

その結果として、仕事のパフォーマンスが上がり、心身の負担も減っていきました。

この経験を通じて、今自分が感じていることを、ちゃんと感じて認めてあげることが、シンプルに幸せに生きる道であると、改めて認識できたように思います。

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