アスペルガー夫に無視され続けた私が自分軸を取り戻すまで 

この記事の目次
夫からの完全無視が始まった日
「おはよう」 と言っても無視。
「今日はいい天気だね」と言っても無言。
夫に何を話しかけても、まるで私が存在しないかのように無視される日々が始まったのは、息子が低学年になった頃のこと。
我が家の夫婦仲は、結婚して二人暮らしの時も、息子が生まれて私が育休を取っていた頃も、良好でした。
同じコンサルタント職で、週末も一緒にでかけたり、長期休暇には海外旅行に出かけたり、仲良く暮らしていたんです。
でも——
私が育休後にフルタイムで復職した頃から、夫の態度が変わってきました。
夫にアスペルガーの傾向があると診断されたのも、その頃のこと。
特に子育てや息子の教育のことで意見が異なると、一方的に批判されることが増えていきました。
「お前は何もわかっていない。」
「もしそんな選択をして、将来息子がグレたらどうするんだ!」
「グレる」なんて、もう死語ですよね~(笑)
夫は、子供のことになると私の人格を否定するような言葉で批判してくるようになり、私は次第に夫の言葉が怖くなってきたのです。
そうして私自身は、カサンドラ症候群という診断を受けました。
※カサンドラ症候群とは
パートナーが自閉スペクトラム症(ASD)のため、適切な意思疎通や関係性を築けない心的ストレスから、不安障害や抑うつ状態といった症状が起きている状態を指します。
息子が小学校低学年になる頃には、夫は私のことを完全に無視するようになりました。
朝の挨拶をしても、「おかえり」と言っても、無視。
私は、家庭内では自分がまるで透明人間になったかのような感覚になっていました。
存在しないかのように無視される悲しみ
存在しないかのように無視される悲しみは、言葉では表現できないほど深いものでした。
家の廊下ですれ違うだけで「チッ」と舌打ちをされ、夫からのコミュニケーションは、メールやSNSでの非難の言葉のみ。
次第に、着信音が鳴るたびに、今度は何を怒られるのかとビクビクするようになっていきました。
同じコンサルタントの夫は、私以上に論が立ち、何を言ってもロジックで詰め寄られ、「お前はダメだ」と否定されるんです。
怖くて言い返すこともできず、いつもただ謝るか、黙りこむしかありませんでした。
心の中は、毎日が戦場のよう。
誰も私を認めてくれない孤独感。
家族の中でいらない存在だと言われ続けているような疎外感。
そんな感情が心の奥底に積もり続けていました。
夫の無視パターンの背景
なぜ夫は私を無視するようになったのでしょうか。
その背景には、義母の姿がありました。
彼の実家に帰省した時、義父がリビングに入ってくると、義母はスッと立って部屋を出ていく。
義父と義母の会話は、全くありませんでした。
夫は、幼い頃からそういう父母を見てきて、自分が気に入らないことがあると「無視する」というパターンを学んだのかもしれません。
アスペルガー傾向のある夫にとっては、相手の感情を解することが苦手で、自分の言動が相手をどれだけ傷つけているかなんて想像もつかなかったんでしょう。
でも当時の私は、夫の特性も、そんな背景も理解できず、ただただ自分は至らない妻、母親だと責めて、傷ついていました。
感情に向き合う決意
精神科医からも、「アスペルガーは先天的なものだから、夫を変えることはできない」と言われ、私は、自分の心を守るために、蓋をしてきた自分の感情を感じてみることにしました。
夫に否定され、非難されても、「私は大丈夫!」と自分に言い聞かせて暮らしてくるしかなかった私。
初めに出てきた感情は、悲しさ・寂しさでした。
自分がその場に存在しないかのように扱われる悲しみ。
見捨てられたような孤独感。
一人ぼっちにされたような寂しさ。
感情カウンセリングを学ぶ中で、様々な感情を隠して一人で耐え続けてきたことに気づき、感情に向き合おうと決心したのです。
感情に向き合っていくと次第に、夫に無視されたる時の、心の声が聴こえてきました。
「私の存在を認めてほしい」
「私の話を聞いてほしい」
「私はここにいるよ!」
本当は一番身近にいる存在である夫には、私のことを理解してほしかったし、温かい言葉もかけてほしかった。
私なりに仕事も子育ても家事も精一杯がんばっていたのです。
ほめてくれなくてもいいから、せめて否定や批判だけはしてほしくなかったのです。
どんなに辛くても息子の前では元気なお母さんでいなきゃと気丈に振舞ってきましたが、隠した感情が心の奥底からわいてきて、涙もあふれてきました。
次に出てきたのは悔しさです。
「なぜ私ばかりがこんなひどい目に合わなければいけないの?」
「どんな悪いことをしたっていうの?」
「もうこんな状況から、逃げ出したい。」
そんな気持ちも感じ続けました。
そして最後に出てきたのが「怒り」です。
「私にこんなひどい仕打ちをしてくるなんて。」
「むかつく~~!!!」
縮こまってしまっていた私の心の底にも、こんな激しい感情もあったんだと気づきました。
自分の中の感情を認めて感じきることで、少しずつ心が軽くなっていったのです。
それまで背負っていた重荷がスッと消えていった感覚でした。
夫への理解が深まる
感情に向き合う中で、あることに気づきました。
夫にとって「パートナーを無視する」という行動は、自分自身のやり場のない不快感を解消する唯一の方法だったのかもしれない、ということ。
アスペルガー傾向のある人は、社会に適応するために”普通の人”を装う「マスキング」を続けると言われています。
優秀なコンサルタントとして生きてきた夫は、相当な努力と苦労をして今の地位を築いてきたのです。
息子が生まれ、私がフルタイム復職した後、彼にとってはコントロールできない領域が増えて「マスキング崩壊」が起きたのでしょう。
その不安定さを自分では抱えきれず、家庭内で一番近くにいる私にぶつけるしかなかったのかもしれません。
感情のぶつけ先が息子でなく、私であったことは唯一の救い(苦笑)ですが。
かつて医師から、「アスペルガー傾向のある人は、針の穴から世界を覗いているようなもの」と言われたことがあります。
日々、どこから矢が飛んでくるかわからないような世界で生きている。
そしてその”矢”の多くは、周囲の人の相手の感情の波によって放たれる。
しかし、感情を解するのが苦手な夫にとっては、その矢がいつどこから放たれるのか、またその理由も分からない。
そんな不安定な世界で、彼自身も怖れや不安を抱きながら、でも”普通でいなきゃ”とがんばって生きてきたのだろうと思うんです。
心の平穏を取り戻す
以前は、夫に何か言われる度に、ビクッと反応していた私でしたが、自分の感情に向き合い、解消していくと、夫が怖ろしい存在ではなくなってきました。
「夫も、その特性上、大変な時を過ごしてきたんだろう。」
もしかしたら私以上に生きづらかったのかもしれない。
そう思えるようになると、私を「無視すること」も彼なりの精一杯のコミュニケーション方法だったのかもしれないと思えるようになりました。
かつては、私の中に怯えて縮こまった小さな子供がいるようでした。
でもその小さな子供の声に耳を傾けられるようになると、夫の言動に都度、反応することも減っていき、夫への怖れも少しずつ和らいでいきました。
夫をありのまま受け入れる
改めて夫をありのままを受け入れられるようになりました。
当時の私は、彼の特性を深く理解することもできず、心が折れてカサンドラ症候群と言われていました。
自分のことで目いっぱいで、相手を理解する余裕なんてありませんでした。
でも--
感情を感じて自分の中のわだかまりが減っていくと、相手の全てをありのまま、善悪の判断することなく受け入れられるようになってきたんです。
自分の感情にも良し悪しをつけず、否定せず、ありのまま受け入れることが解消のコツだということもわかってきました。
そんな風に自分自身の感情に向き合ってきた結果、数年後には、カサンドラ症候群は跡形もなく消えていました。
そして、今では、当時のことを笑いながらクライアントさんにお話しすることさえできるようになっています。
あなたへのメッセージ
アスペルガー/モラハラ傾向のある旦那さんから、否定されたり、無視されたりして、
毎日がつらいと感じているあなたへ。
もしあなたが、パートナーからの言葉に傷ついたら、その時に感じた気持ちを見つめてみて下さい。
「なんで私がこんなひどいこと言われなきゃいけないの!!」 という怒りでも
「一番大切にされたい人に否定されて悲しいし、つらい…」という気持ちでも
なんでもいいんです。
自分の感情をありのまま認めて感じてあげること。
それはタダでできること(笑)なので、ぜひ自分の心に正直に認めてあげて下さいね。
「こんな感情を持ってはダメ!」と否定する必要もありません。
そうして自分の感情に向き合っていくと、もしまた同じようなことを言われても、以前よりはダメージを受けにくくなったあなたが、そこにはいるかもしれません。
アスペルガー傾向のある旦那さんと、あなたとの間にはどのような溝があるのか?
その溝を作ってしまっている、旦那さんの特性はどのようなものなのか?
自分軸に照らすと、あなたはどうふるまうことができるのか?
今の状況を変える糸口を見つけたい時は、お気軽にお話にいらして下さいね。
ご自身の心を大切にして、自分らしさを取り戻していくあなたを心から応援しています!

ビジネスコンサルタントとして仕事をする傍ら、社内外での人間関係、夫や子供との関係をもっと円滑にしたいと感情カウンセリングを学ぶ。その中で、自分が不安ベースで生きてきたことに気づき、これまで見ないできた感情を感じるようになると仕事&家族関係も好転し、がんばらなくても生きやすくなったという実感を持つ。
現在は、感情カウンセリングを提供すると共に、職場のワーキングファミリーコミュニティで「子育てにおける感情の取扱説明書」セミナーを継続開催するなど、感情カウンセリングの良さを伝えることも積極的に行っている。












