我を忘れてしまう、怒りの処方箋 

家庭の暴力や職場のパワハラがニュースになりました。

初めから暴力をふるいたい人はいないと思います。

「カッとした、気がついたらそうなっていた」と言うのが理由でしょう。

つい人ごとに思ってしまいますが、自分にも思い当たることがありました。

暴力にまでならないとしても、私にも起きていたことだからです。

父と喧嘩になったこと

私が実家で働きだして、しばらくした時のこと、父と喧嘩をしました。

当時父が社長で、私に「もう会社に来るなクビだ」と言われたことがあります。

父と別居していましたので「もう来るな」という意味でした。

父の剣幕に、その場は帰るしかありませんでした。

喧嘩になった切っ掛けは、父が高齢になり仕事をすることに体力的に支障をきたしていた。

あまり無理をしないでほしい、家族にもっと任せてほしいと言った話しをしていました。

父は、ほとんど聞く耳をもたない頑なな態度に、私は業を煮やして、その日は強い言い方になったのが切っ掛けでした。

私の態度が悪かったのだと思います。父が若ければ、暴力にまでなったのかもしれません。

私も意地になっていました、そして勘当された様な話しになった訳です。

私は間違っていない、父に謝ったりする必要はないという思いで一杯でした。

こちらの話しを、なぜ分かろうとしないのだという思いから、私も頑なになりました。

心の底には、父に対する思いやりはあったと思います。

それを表現する余裕はなく、私なりに自信はあって、穏やかに話すことは出来なかったのです。

お互い熱くなって、エスカレートしたのだと思います。

後日、おばさんが私をかばってくれて、なんとか仕事に戻ることができました。

その時は父と和解というわけではなくて、うやむやにした感じでした。

カッとしたことが原因で、人付き合いや家族関係を壊してしまうことがあります。

自分の傷に怒りの理由はあった

喧嘩になっても後から謝ったり、意地を張らなければ問題にならない場合はあります。

人に怒ってしまった時に一呼吸おければ、話しができれば、関係を壊すことは無いと思います。

カッとして極端な行動に出てしまっては、後悔することになりかねません。できるなら、怒りに任せた行動は避けるのが賢明です。

私は被害者、怒って当然という気持ちでした。

喧嘩になった時、人と上手く行かない時、そうなった原因を考えていました。

私は間違っていない、相手が悪いとか、やっぱり言いすぎたのだろうか?などと頭を巡るばかりでした。

熱くなった自分の想い、なぜ意地を張る気持ちになったか、思いを寄せることはありませんでした。

自分のことは、気がつけなかったのです。

どんな時に、怒りが出るのか? 共通点を見つけました。

私の場合は「言っても分かってもらえない」が傷で、怒りの感情が出やすい様でした。

「怒り」になるのは、相手の問題というより、自分の心に要因はありました。

人付き合いで、相手を変えることはできません。

とっさの怒りに対処するには、被害者にならない意識は大事だと思いました。


感情を学んで、心に変化はあった

以前の私は怒ったまま、人にきついことを言ったことがあります。

ある時は、なにも言わずに我慢してイライラしていました。

無意識に反応しているので、自分のことは分からなかったのです。

父との関係は戻りましたが、仲裁してもらえなかったら、喧嘩別れになるところでした。

怒りの反応は、望む結果とは正反対になってしまいます。

自分が悪いか、相手が悪いかではなくて、穏やかに対応できるのは理想でしょう。

心掛けで人に接する態度を、改めることはできました。

「相手と、どんな関係になりたいか?」と自分に確認する様にしました。

良い関係を築きたいと思う時、例え相手と喧嘩になったとしても、関係を壊さない様に配慮できます。

「父も正しいかもしれない、なにか事情があったのかもしれない」と想像しました。

きっと仕事ができない不安で一杯だったのだろう、その時は余裕がなかったのだろうと。

以前は、怒りはどうにもならないもの、成り行きで起きたこと、それ以上に思った事はありませんでした。

それでも暴力にまでなる時は一時的に避けたり、しっかり言うのも必要かもしれません。

もう一つは、感情の理解を深めたことでした。

人に怒りが出た時に反射的に反応しても、状況を悪くします。真意は伝わりません。

本当の望みは、穏やかに会話をすることでした。大事な関係が壊れてからでは、後悔します。

怒りが出たとしても、じっと感じられる、感情に呑み込まれない練習をしました。

自分に意識を置いて、維持する練習をしました。感情に意識を置くことを続けました。

人付き合いに正解はありません、我を忘れた行動や言動は慎むことはできます。

自分の感情は、心そのものと思っていた時に比べて、扱う意識に変われました。

 

トレーニングの効果、心の安定が増してきた

感じることに許容力がついたこと、自分の状態に気づきやすくなって、客観的な視野も拡がりました。

以前は、辛いことがあると無意識に感じないように行動していました。

感情的に揺さぶられることが、怖かったからだと思います。

自分がなにを感じていたのか? 長い間、分からないまま過ごしていました。

私は学生の頃から、本を読むとき小説を避けていました。大人になってからは、ビジネス書や自己啓発書が好きと言っていました。

知識は増えましたが、感情から離れて楽になるから優先していた。

小説を読んでは、かえって感情的になります、それで避けていたと気づきました。

辛い気持ちが出そうになると、誤魔化す方向に行動した。対処が分からなかったからです。

感情は、手のひらの様に取り扱うことができることは、目からウロコの学びでした。

無意識に避けることが減って、ネガティブな気持ちにも対処できる、自分でバランスが取りやすくなりました。

強い感情を感じることは減ってきた。解消することもできます。感じることに怖さがなくなると、不安になってもじっとしていられます。

独りでスッキリできます。我慢してストレスになる心配はありません。

無意識の反応が減って、静かな対応ができやすくなっています。

人付き合いを壊さないための対処は、だいぶ前進できました。

人付き合いは、いつも上手くいくとは限りませんが、自分の対応はだいぶ変われました。

感情を意識するようになってから、波及の効果がありました。

自己肯定感が高まりました。葛藤があるのは駄目だと思っていましたが、自分を責めることが減りました。

葛藤自体が減りました。ストレスが減った感覚です。

感覚も開いて、目に見えない変化に敏感になりました。場の状態に気がつける様になりました。

カウンセラー仲間でイライラしている人は居ません。メンバーが集まると、安心できる安定する場が出来ます。

不安定な人の中に入ると、周りの人が落ち着く効果があります。感情の安定は、その場に居る人に伝わります。

そのことでイライラしている人に、合いにくくなったと感じます。

感情のトレーニングは、それだけ価値のある学びです。怒りの処方箋には、感情のトレーニングをお勧めできます。

 

まとめ

  • 感情的に乱れる理由は、心のことを何も知らなかった、感情のことを教えてもらえる機会がなかったから

 

  • 人付き合いは相手と、どんな関係になりたいか? 自分に質問して、理想を描くと関係のべースになる

 

  • 感情の所作を理解すればストレスは減り、生活のクオリティーは上がりやすくなる

 

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