子供の勉強が気になるママたちへ
この記事の目次
久々のテスト
「子供が勉強をしないのですが、どうしたらいいですか?」
「私が勉強に躓いたので、子供にはそうなってほしくないんです。」
「私は親に言われなくても勉強をしてきたのに、なぜうちの子はしないんでしょうか?」
ママ達からのご相談事の多くに、子供の勉強のことがあります。
かくいう私も、息子の勉強のことがとてもとても気になっていました。(まだ気になる時もあります。)
今回は、私自身がテストを受けることを通じて、自分の勉強への向き合い方が変わり、息子の勉強への視点も変わった体験をお伝えしようと思います。
振り返ると、中学・高校・大学時代の私は、いわゆる「ガリ勉」でした。
しかも、とても要領の悪い「ガリ勉」でした。
教科書の問題は、隅から隅までできるようにならないと不安。
暗記科目なら、対象範囲を全部覚えきらないと不安。
テスト前に「山をかける?!」なんて、私の人生にはありえませんでした(笑)。
なので、中1の息子が勉強する様子を見ていると、なんでこんなに穴だらけの勉強しているんだろうと不安で仕方ありません。
特に覚えれば点数がとれるようなテストで、真剣に覚えていない息子を見ていると、イライラを覚える程でした。
先日、私自身が何年かぶりにテストを受ける機会がありました。
テスト範囲は、数ヶ月前に発表され、一部の問題には模範解答まで用意されているものです。
昔の私なら、テストの一週間前位には覚えるべきものを覚えきり、最後の一週間は余裕を持って過ごす位のスケジュール感で進めていたはずです。
テスト直前に仕事が忙しくなって勉強をする時間がとれなくなることも不安だからです。
しかし、今回は昔の私のようにはいきませんでした。
勉強が手につかない
昨年の秋頃から仕事が忙しくなり、深夜まで在宅で仕事をする日々が続いていました。
なので、平日にはテスト勉強の時間を全くとることができませんでした。
さらに週末も色々な用事が入り、勉強に時間を割くことができずにいました。
そうしているうちに、時は刻々と過ぎていきます。
昔の私は、不安にかきたてられて勉強をしてきたのですが、カウンセラーになった今は、不安をガソリンに走り続けることもできなくなっていました。
少し時間がとれて勉強を始めようと机に向かっても、部屋の片づけを始めてみたり、全然勉強が進みません。
心の中を覗いてみると、こんな調子で勉強をやらないままテスト当日を迎えて、テストに落ちたらどうしようという不安や、自分だけが再試験になったらという気恥ずかしさも出てきました。
それでも、そんな自分にも向き合えず、勉強にも手がつけられず、テストは1週間後に迫っていました。
私がガリ勉になったわけ
これは、昔の自分にも向き合いなさいというアラートだと思い、昔の自分に思いを馳せてみました。
中学生以降の私がガリ勉になった理由は、中学受験に失敗した私が、高校受験でまた失敗することをとても怖れていたということにあります。
もし受験で自分のできない問題が出たら点数が足りずに落ちるかもしれない。
なので、例えば暗記物の教科であれば、すみからすみまで完璧に覚えておかないと不安でした。
自分を擦り減らし、過剰な時間と労力をかけて勉強に向き合ってきたのです。
不安を感じる
テスト1週間前。
今回のテストは記述式で、半分は内容を覚えるもの、残りの半分は自分で回答を準備するもので、やるべきことは明確なのに、全く勉強に手がつけられないでいました。
仕事の忙しさを言い訳に全く勉強を始められないでいた私は、自分の感情に向き合おうとやっと決心しました。
テストで合格点に達しなかったらどうしようという不安、過去に再試験になった人なんて聞いたことがない中、自分だけが再試験になったらどうしようという恥ずかしさ、勉強をやらなければいけないのにできない自分への不甲斐なさなど、いろいろな感情が出てきました。
出てくる感情を感じていくと、中学生の私と今の私では、勉強への意識も感じている感情も違うということが実感できました。
すると、今の私は、自分らしくテストに向き合えばいいんだと思えるようになりました。
学生時代の頃のように、不安で不安でしかたなく勉強する必要は全くない、と思えました。
加えて、資格取得のための今回のテストで満点をとる必要はなく、合格点を1点でも超えればいいということも腑に落ちてきました。
その時、同じ試験を受ける仲間に「あと1週間しかないのに、まだ勉強が全然できていない」と愚痴をこぼす機会がありました。
すると親切な友人は、戦略的な点数の取り方についてのアドバイスをくれました。
学生時代の私は、そもそも自分で取り組むべき勉強について、友人に弱音を吐いたり、相談することなんて思いもよりませんでした。
もし友人が点数配分を分析して「捨て問」を教えてくれたとしても、耳にも入らなかったと思います。
でもゴールが決まっている今回は、そのアドバイスを素直に聞くことができました。
昔の私
中学時代の私は、なぜそんなにも頑なに勉強を完璧にやりとげなければと思っていたのでしょうか。
次の高校受験では失敗したくないという思いもありましたが、それ以上に、次の受験では父を失望させたくないという気持ちが強くありました。
当時、体の弱い母は入退院を繰り返していて、私のお弁当作りから勉強のことまで、全て父がやってくれていました。
私は父が大好きで、父も「自慢の娘」と公言していて、周囲からは一卵性親子と笑われる程でした。
私が公立中学に行くことになっても、父は、私を責めることなど全くありませんでした。
それでも私は、父の期待する「自慢の娘」でなくなってしまったと心の中では自分を否定していました。
なので、二度と父を失望させたくないと必死に勉強をしていたのです。
それに対して今は、誰かに認められるために勉強しているわけでもなく、資格試験も自分自身のために受けるものです。
大人になり、仕事も忙しい中、勉強に投入できる時間も限られていて、その制約の中で満点ではなく合格点をとればよいだけなのです。
さらに、もし不合格になっても、再試験の機会もあるのです。
そう考えると、自分を縛っていたしがらみが解けて、気持ちがとても楽になりました。
今の私
テスト5日前。
私は、中学時代からの自分を手放して、今の私らしくテストに取り組もうと心を決めました。
するとモヤモヤしていた気持ちがなくなり、すっと勉強に取り組めるようになりました。
父の自慢の娘であり続るため、テストに受験に失敗したくないと不安に掻き立てられて勉強していた中学時代とは異なり、今やるべきことを必要なレベルでやり遂げようという感覚に変わりました。
父から認められるためではなく、自分の将来への投資のためにこのテストに取り組もうという実感も強まってきました。
ラストスパート
勉強への取り組み方も変わりました。
それまでは、毎晩、深夜まで仕事をして「今日も勉強する時間がとれなかった」と後悔する日々の連続でした。
でもこのままでは、ズルズルとテスト当日を迎えるのが目に見えていました。
そこで、どんなに仕事が忙しくても1日2時間は必ず勉強時間を作ろうと決めて、自分のスケジュールをブロックしました。
スケジュールがずれこむことはありましたが、最後の5日間はなんとかその時間を確保して勉強に取り組むことができました。
テスト当日。
結果はどうであれ、今日までやってきたことを全力で出し切ろうと、これまでになく真剣にテストに向き合うことができました。
テスト終了後の「やりきった」という心地よさは、これまでのガリ勉人生では感じたことのない清々しいものでした。
子供の人生、あなたの人生
今回、久しぶりの試験勉強を通じて、学生時代の自分の勉強に向き合う姿勢や、見過ごしていた感情を感じるいい機会になりました。
お陰で、勉強と自分との新たな関係性を築くことができました。
さらに、また経験してもよいと思える程の充実感まで感じることができました。
もう一つの気づきは、勉強をする息子の姿を客観的に見られるようになったことです。
これまでも、頭では自分と子供は違うとわかっていても、どうしても子供の勉強する姿に昔の自分を重ねてしまう傾向がありました。
しかし、私自身、今回の経験を通じて、自分を縛っていた勉強への取り組み方や意識を変えることができたのです。
息子にとっては、勉強のみならず、あらゆる物事に対して、今の彼なりの取り組み方があって、それには正解も不正解もないのです。
遠回りに見えるような道でも、時には試行錯誤をしながら自分らしいやり方を見つけていくのも、彼の人生なのです。
まさに私自身が経験したように、何をゴールにして、そのためにどういうアプローチで取り組むのかを考えるのも息子、自分で選択したことを実践するのも息子なのです。
やっと実感をもって、それが感じられるようになりました。
お子さんの勉強が気になってしまうママたちへ
昔のあなたは、勉強をする時に、どんなことを感じていましたか?
ぜひその時に感じていた感情を感じてみて下さい。
そうすると昔の自分を手放して、お子さんとの距離感もとれるようになり、お子さんが自分らしく物事に立ち向かう姿をもっと応援できるようになると思います。
ビジネスコンサルタントとして仕事をする傍ら、社内外での人間関係、夫や子供との関係をもっと円滑にしたいと感情カウンセリングを学ぶ。その中で、自分が不安ベースで生きてきたことに気づき、これまで見ないできた感情を感じるようになると仕事&家族関係も好転し、がんばらなくても生きやすくなったという実感を持つ。
現在は、感情カウンセリングを提供すると共に、職場のワーキングファミリーコミュニティで「子育てにおける感情の取扱説明書」セミナーを継続開催するなど、感情カウンセリングの良さを伝えることも積極的に行っている。