家庭内暴力を止めるために 

家に居る時間が増えると、家族の楽しみは増えます。

同時に、家族の放置していた問題はクローズアップすることがあります。

家庭内暴力は、深い悩みになる問題。

緩和するヒントを、自分の体験から考察します。

 

家族の想い

 

父の法要に行ってきました。

今だから、当時の自分の想い、父の立場や想い

どちらも見ることができると思えました。

 

私は、父から暴力を受けたことがあります。

中学生当時のこと、子供の私には深刻な悩みでした。

その頃はすでに「父に話をしても無駄」と信じていました。

父は仕事以外の話に聞く耳はなく、終わればすぐにお酒を飲んでしまう。

怖かったこともあって、子供の私が話をするすき間はないと感じていました。

子供の私には、父に話をしたくても、出来ないことがありました。

いつしか、話は聞いてもらえないものと思っていました。

私の目から見た父は、過度に仕事熱心にみえました。

家庭のことは母に任せていた。それでいて大事なことは決定権をもちました。

父がダメだと言えば、ダメになります。そのことで、私は傷ついて怖さも感じていました。

中学生の頃には、私は勝手にするという態度になり、起きた事だと思います。

父に黙って、屋根にアンテナを張ったのが切っ掛けでした。

それに怒った父がアンテナを壊し、暴力になりました。

「暴力をふるう父が悪い」私は父を見限った様に、意地になりました。

それでも私にとって、父は怖い存在、逃げていたのです。

 

当時の父の想いを想像すると、自信のある態度とは裏腹に、孤独でした。

経営者という立場上、弱音は言えず、辛さを抑え込んでいたと思います。

人と話をすること、聞くことを苦手にしていました。

当時は、仕事は上手くいっていて、それが自信になっていた。

しかし人に対して、家族に対しては、心の傷をもっていたと思います。

私に暴力を振るった後で、父は反省していました。

自分の怒りをどうしていいか分からず、感情の激しさに、翻弄されていたと思います。

 

 

原因を追究しても解決しない

 

心の痛み、トラウマから来る、問題が大きかった。

私からすると、暴力をふるう父が悪い。

父からすると、頭では暴力が駄目なことは分かっていた。

勝手なことをしている私が悪い。気が付いたら、そうなっていた。

どちらが悪いという考えでは、解決しない問題でした。

 

当時の我が家には、親子の会話はありません。

本来は、誤解から始まったのでしょう。

子供の私は、父の想いまで気が付く余裕はありませんでした。

父は、本当は辛い状態だったのでしょう。

イライラしてしまう理由は、子供が勝手なことをするから。

それが怒りのきっかけだとしても、本当の理由ではなかったはずです。

ストレスで一杯、感情的な問題は大きかったと思います。

心の傷から来るやるせなさ、環境の変化や不安はあったと思います。

気がつけていたなら、怒りの理由は分かったのではないかと想像します。

 

 

思いやりの話ができない時、逃げていい

 

当時、原因を追及しても親子で対立したと思います。

本音の会話ができるのが一番ですが、素直に話せないと想いは伝わりません。

向き合うことは出来ずに、会話はありませんでした。

暴力になる時、以前からの溝もあって、話すのは難しかったのです。

ストレスを緩和する、逃げることに良い面はありました。

 

子供の頃の私は、恵まれていました。

暴力が日常的でなかったこと、父は反省していたこと。

家族仲が悪ければ、距離を置ける。

子供なら、生活不安がない状態が必要になります。

私は住まい、食事、生活の心配はありませんでした。子供は生活を賄えません。

私の家は充分に広さがあり、父から離れて逃げることができました。

父は自営業、会社と家が同じ建物にありました。

父と顔を合わせない様に、距離をとることができました。

被害を受ける側にも問題はあるといっても、何もできなかったでしょう。

対立するもの同士、距離を置いたり、逃げることは解決ではないですが、救われました。

 

当時の父のストレス発散方法は、お酒。

コミュニケーションを難しくしていましたが、唯一の楽しみでした。

お酒でストレスを発散するのは、辛さを誤魔化すため。

相談する人が居るとよかったですが、当時の父には居ませんでした。

辛さからいつも、深酒になっていました。

自分の問題には気がつきにくい、父を非難しても仕方のないことです。

 

 

コミュニケーションをとる意味

 

家族間のいざこざは、誤解や会話不足からが多いと感じます。家族でも分からないことは多い。

相手のことを思いやる状態になって向き合うこと、素直な話、愛情をもっての態度は必要。

親が子供を、一人の人として扱って話ができることが望まれます。

 

私の様に、話ができない時は、時間は必要かもしれません。

私の小中学生の頃は、父とは会話できない状態。

 

それから時が過ぎ、当時の父と近い年齢になり、父と一緒に仕事をすることになりました。

その時になって、父と会話をするために手紙を渡しました。

私が身体を壊して、父のこれまでのことを和解する気持ちになったからです。

私の本音の想い、父への想いを書いた手紙になりました。

父に伝わった部分はあって、関係は改善しました。

親子で、お互い独りの人として、本音の会話ができるのは理想です。

子供だからと話を封じない、聞いてあげること。

父は会話が嫌いで、まとまった話は困難でしたので、手紙という形になりました。

暴力になってしまう人の想いも聞くことができたら、聞いてほしい。

それが関係を緩和することになります。素直になるのは勇気が必要です。

 

ストレス発散の方法は、気持ちの良い自然の中に行く、スポーツがお勧め。

家の中ばかりなら、気分は変わります。

深呼吸したくなる場所が良いと思います。私はスポーツしています。

食事やお酒でのストレス発散方法は、お勧めしません。解消されないからです。

 

 

感情のメカニズムを知って

 

身近な家族ほど、ひっかかりはあるものでしょう。

感情カウンセリングの講座で、感情や投影を学んだことで

「感情は扱える」「なにを感じても悪くない」という気づきがありました。

人間関係の見方が、大きく変わりました。

両親のことを客観的にみるのは、時間がかかりましたが。

 

「怒り」や感情に翻弄されていた時とは違います。

怒りが出たとしても、とり乱さなくなりました。

家族だけではなく、人と接する時、相手の立場に立ちやすくなりました。

そういう状態に、近づくことが出来ると、多くの方にも知って頂ければと思います。

 

感情は自分自身ではありません、怒りの対処を知らなかったのです。

感情について、学ぶ機会をもつことは、根本的な心の問題にアプローチできます。

自分のネガティブな気持ちに対処できたら、暴力までならないはず。

親から暴力を受けた子供は、トラウマになります。

愛してほしい人に、愛されないと感じるから。それでも親に対する愛情はあります。

親は怒りが止められなくても、その後でフォローするのは大切。

素直な愛情を伝えることができれば、取り返せます。

また、子供は大人になれば自分から親と話そうとすることはできる。

親子問題も、お互いの成長材料に変えられます。

 

 

まとめ

〇誰が悪いという考えは、家庭内暴力は解決しない

 酷くなる前にストレスを緩和をする。逃げるのも方法の一つ。

 

〇理想は、本音で思いやりをもって話ができること。

 それが出来ないうちは、距離感をもって接する。

 

〇感情についての学びは、家族関係、人間関係によい影響がでるもの。

 根本的な解決につながる方法。

 

モトでした。

上に戻る